EVを買ったあと、多くの方が気にするのが毎月の電気代です。自宅で充電する分だけ電力の使用量が増えるので、今の電気プランのままでいいのか迷うところだと思います。
idemitsuでんきは「使う量が多いほど安くなる」タイプのプランです。ただこれは裏を返すと、使用量が少ない家庭では差がほとんど出ないということでもあります。
この記事では、EV充電で月の使用量がどれくらい増えるのか、そして何kWhを超えれば実際に効果が出るのかを、公式に公開されている料金データをもとに整理します。結論から言うと、境目は月300kWhです。
⚡ Sプランは3段階で単価が変わる
idemitsuでんきの家庭向けプラン「Sプラン」は、地域の電力会社の従量電灯プランと同じ形をしています。基本料金があって、使った量に応じて電力量料金がかかる仕組みです。
料金は3つの段階に分かれています。公式サイトの説明によると、第1段階が120kWhまで、第2段階が120kWh超から300kWhまで、第3段階が300kWhを超えた分です。
ここで大事なのが、第1段階の単価は地域の電力会社と同じ水準に設定されているという点です。つまり月120kWhしか使わない家庭では、乗り換えても電気代はほぼ変わりません。
差が開き始めるのは第2段階から、そして第3段階でいちばん大きくなります。「使うほど安くなる」というのは、この段階構造から来ています。

🚗 EV充電で月の使用量はどれだけ増える?
では、EVを持つと月の電力使用量はどれくらい増えるのでしょうか。
計算はシンプルで、走った距離を電費で割るだけです。電費とはEVが1kWhで何km走れるかという数値で、一般的な乗用EVでおおよそ6km/kWh前後が目安になります。
この電費6.0km/kWhで計算すると、月に800km走る場合の電力使用量は約133kWhになります。同じ計算で、月300kmなら約50kWh、月500kmなら約83kWh、月1,000kmなら約167kWhです。
実際には充電時のロスがあるので、これより1割ほど多く見ておくと安全です。それでも「毎日20km前後の通勤で月600km」といった使い方なら、月100kWh前後の上乗せというイメージになります。

📊 何kWhから効果が出るのか
ここまでの数字を組み合わせると、答えが見えてきます。
一般的な世帯の電力使用量は、公式サイトのモデルケースでひとり暮らしが月200kWh、ご夫婦で250kWh、3人家族で350kWh、4人家族で450kWhとされています。
ここにEV充電分を足してみます。ご夫婦2人暮らし(250kWh)で月500km走るなら、250+83で333kWh。第3段階に入ります。ひとり暮らし(200kWh)で月500kmなら283kWhで、まだ第2段階です。3人家族以上なら、EVがなくてもすでに第3段階に入っています。
つまり目安としては、EV充電分を含めて月300kWhを超えるかどうかが分かれ目になります。2人以上の世帯でEVを日常的に使っているなら、ほとんどの月でこのラインは超える計算です。
実際の削減額も公式に公開されています。東京電力エリアで契約容量30A、東京電力の従量電灯Bと比較した場合、月200kWhで年間1,560円、月250kWhで年間2,520円、月350kWhで年間5,520円、月450kWhで年間9,600円の削減という試算が示されています。
ただしこれらの金額は、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない試算です。契約エリアや割引の適用状況によって変わるため、申し込み前に公式の料金シミュレーションで自分の条件を確認してください。

⚠️ こんな人には向きません
使用量が多いほど有利な料金体系なので、条件によっては乗り換えても意味がありません。次に当てはまる方は、他の選択肢を検討したほうがいいかもしれません。
月の電力使用量が120kWh以下の方は、第1段階の単価が地域の電力会社と同じなので、差が出ません。ひとり暮らしで在宅時間が短く、EVもあまり乗らないという場合は該当しやすいところです。
EV充電のために専用の低圧電力契約を別に引く予定の方も注意が必要です。公式サイトのよくある質問では、クルマ特割の対象になるのはSプランとオール電化プランで、低圧電力プランは対象外と説明されています。
夜間の電力が極端に安い時間帯別プランをすでに契約している方も、単純比較では不利になる可能性があります。オール電化住宅で深夜電力を使っている場合は、Sプランではなくオール電化プランとの比較になります。
そして沖縄県と一部の離島は供給エリア外です。ここは制度上どうにもならない部分なので、先に確認しておいてください。
| 検討パターン | 向いている条件 | 合わない条件 |
|---|---|---|
| Sプラン(EV充電あり) | EV充電を含めて月300kWh超。2人以上世帯 | 月120kWh以下。単身で走行距離が少ない |
| クルマ特割 EVコース | 自宅にEV充電環境があり、Sプランを契約 | 低圧電力プラン契約(対象外)/自宅充電をしない |
| クルマ特割 ガソリンコース | apollostationで毎月100L給油する | 給油量が少ない/出光系以外で給油している |
| オール電化プラン | 深夜中心の生活で夜間に充電できる | 日中の在宅時間が長い |
| 供給エリア | 本土9エリア | 沖縄県および一部離島(対象外) |
🔋 クルマ特割は月200円引き
idemitsuでんきには「クルマ特割」というオプションがあります。年間で最大2,400円の値引きになる仕組みで、2つのコースから選びます。
EVコースは、電気料金が毎月200円引きになります。ガソリンコースは、ガソリンと軽油が2円/L引きで、月の上限は100Lです。上限まで給油しても月200円なので、金額としては両コースとも同じ水準に揃っています。
EVに乗っているならEVコース一択ですが、金額そのものは月200円です。年間2,400円という数字は決して大きくないので、これを目当てに乗り換えるというより、Sプランの単価差に上乗せされるおまけと考えるのが実際に近いと思います。
なお対象になるのはSプランとオール電化プランのみで、法人向けの低圧電力プランは対象外です。
🎯 EV充電タイムという仕組み
EVコースの契約者だけが申し込める「EV充電タイム」という仕組みがあります。これは他社にはあまりない内容なので、少し詳しく触れておきます。
指定された時間帯にEVを充電すると、dポイント、楽天ポイント、Pontaポイントのいずれかがもらえるというものです。時間帯とポイント数は日ごとに変わり、火曜日と金曜日にメールで案内が届きます。
なぜこんな仕組みがあるかというと、太陽光の発電量が多い時間帯や、電力需要が少ない深夜に充電を寄せてもらうためです。夕方は企業の活動と帰宅が重なって電力需要が増えるので、その時間を避けてもらう狙いがあります。
注意点もあります。充電実績は送配電事業者が計測した使用電力量で判定されるため、EV充電以外の家電の使用分も含まれます。またオール電化プランは時間帯によって単価が違うので、日中の充電タイムに合わせると電気代が上がる場合があると公式に案内されています。
参加にはでんきMYページからの申し込みと、ポイントカード情報の登録が必要です。

🔌 申し込み前に確認しておきたいこと
料金以外で見ておきたいのが、価格の変動リスクです。
公式サイトによると、idemitsuでんきは市場価格調整単価を導入していません。電力の需給がひっ迫したときに請求額が跳ね上がる、という心配が構造的に少ないということです。新電力を選ぶうえで、この点は地味ですが重要な部分だと思います。
もうひとつ、プラン変更や引っ越しの手続きに手数料や違約金がかからないことも公式に明記されています。合わなかったときに抜けやすいというのは、最初の一歩としては安心材料になります。
自分の使用量でいくらになるかは、公式の料金シミュレーションで確認できます。検針票の使用量を入力するだけなので、数分で終わります。
まずは今の使用量を確認して、EV充電分を足したときに300kWhを超えるかどうかを見てみてください。
✅ まとめ
idemitsuでんきをEV充電と組み合わせて考えるときのポイントを整理します。
Sプランは第1段階(120kWhまで)が地域電力と同水準で、第2段階、第3段階と使うほど差が広がります。効果がはっきり出るのは第3段階に入る月300kWh超からです。
EV充電は電費6.0km/kWhとして、月500kmで約83kWh、月800kmで約133kWhの上乗せになります。2人以上の世帯でEVを日常的に使うなら、300kWhのラインはほぼ超える計算です。
クルマ特割のEVコースは月200円引きで、年間では2,400円です。金額としては大きくないので、判断の軸はあくまでSプランの単価差に置くのが現実的です。
料金は契約エリアや燃料費調整額によって変わります。最終的な金額は公式の料金シミュレーションで確認してください。
なお、EVそのものの購入費用については補助金制度も動いています。あわせて「CEV補助金2026|EV最大130万円+東京都の全条件」もご覧ください。
自宅の充電設備をこれから整える人は、工事の前に確認しておきたいことがあります。
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